2022-06-14
不動産を売却する際、売主は買主に対して契約した内容どおりの不動産を引き渡す責任があります。
これが「契約不適合責任」です。
ここでは、契約不適合責任とはどのようなものなのかについてご説明するとともに、瑕疵担保責任との違いや注意点についても解説します。
北九州市、遠賀郡、糟屋郡、下関市エリアで不動産売却をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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契約不適合責任とは、売買契約において、買主に引き渡した商品の種類・品質・数量が契約と異なっていた場合に売主が負うべき責任のことです。
不動産売却においては、「品質」について問題となるケースが多いといえるでしょう。
契約不適合責任は以前まで「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年の民法改正により内容がブラッシュアップされ、現在の名称に変更されました。
不動産売却の際に契約不適合責任に問われることが多いのは、屋根の損傷による雨漏りや、水道管の劣化による水漏れ、シロアリによる浸食などです。
ただし、不具合や欠陥があること自体が問題になるわけではありません。
売買契約前に買主に対して説明がされており、買主も了承したうえで契約内容に不具合箇所についての記載があれば、契約不適合責任に問われる可能性は低いといえるでしょう。
契約不適合責任が生じるのは、「契約内容と異なるものを売却した場合」です。
そのため、売主としては売却の前に不動産の状態を正しく把握し、売買契約書にしっかりと記載しておくことが重要となります。
契約不適合責任が発生した場合において、買主側には5つの権利が与えられています。
契約不適合責任における買主の権利1:追完請求
追完請求とは、契約内容に沿った完全な状態の商品を求めることです。
具体的には、契約内容どおりの商品を新たに請求することや、引き渡された商品の修理を求めることをいいます。
不動産売却において違う商品を新たに提供することは難しいため、修理を求めるケースが多いといえるでしょう。
契約不適合責任における買主の権利2:代金減額請求
売主が追完請求に応じなかった場合には、代金減額請求ができます。
代金減額請求とは、不動産購入代金の減額を求めることです。
基本的には追完請求に売主が応じなかった場合にのみ認められている権利ですが、「土地面積が契約書の記載よりも小さかった」などのケースでは追完請求に応じることが不可能なため、最初から代金減額請求をすることが認められています。
契約不適合責任における買主の権利3:催告解除
追完請求に売主が応じなかった場合の選択肢としては、代金減額請求のほかに、催告解除が認められています。
これは、売主に催告をしたうえで、契約自体をなかったものにできる権利です。
契約を解除しても違約金を支払う必要はなく、購入代金の返還を求めることができます。
契約不適合責任における買主の権利4:無催告解除
無催告解除とは、売主に催告することなく契約を解除できる権利のことです。
買主は、催告した内容の履行が不可能であると考えられる場合や、売主側が履行の拒否を明確に表示した場合などに、無催告解除をすることができます。
契約不適合責任における買主の権利5:損害賠償請求
売主が故意に買主に伝えていなかった不具合や、売主側の過失で生じた損害があった場合には、損害賠償を請求することができます。
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前述したように、2020年の民法改正によって「瑕疵担保責任」の内容が改良され、「契約不適合責任」に変更されました。
この改正により、瑕疵担保責任の頃よりも売主側の負う責任が重くなったといわれています。
ここでは、具体的にどのような違いがあるのかについて見ていきましょう。
瑕疵担保責任では「隠れたる瑕疵」が見つかった場合に、買主が売主に責任を問えるとされていました。
しかし契約不適合責任では、文字どおり「契約の内容と適合しない場合」に売主側に責任が生じます。
そのため売主としては、売却する不動産の状態を正しく把握し、売買契約書に漏らさず記載しておく必要があるといえるでしょう。
瑕疵担保責任では、買主が売主に責任を問う際の手段として、「契約解除」と「損害賠償請求」しか権利が認められていませんでした。
契約不適合責任では買主側の権利が増え、「追完請求」「代金減額請求」「催告解除」「無催告解除」「損害賠償請求」の5つの権利が認められています。
瑕疵担保責任では、売主の「信頼利益」に対してのみ損害賠償請求が認められていました。
信頼利益とは、契約が有効だと信じたことによって、買主側が失った利益のことです。
不動産売買においては、売買契約時に支払った登記費用や準備費用などが信頼利益にあたります。
一方、契約不適合責任では、「履行利益」に対しても損害賠償請求が可能です。
履行利益とは、契約が履行されていれば買主が得ていたであろう、転売利益や営業利益などのことを指します。
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瑕疵担保責任から契約不適合責任に民法が改正されたことにより、不動産売却における売主側の責任がより重くなったとお伝えしてきました。
では、不動産売却で契約不適合責任に問われないためには、どのような注意点があるのでしょうか。
契約不適合責任では、売却した不動産と契約書の内容に違いがあると責任を問われることになります。
不動産の不具合箇所などについて正確に把握し、契約書に漏れなく記載しておきましょう。
しかし多くの場合、中古不動産においては建物や設備に何かしらの不具合があると考えられます。
そのため、免責したい部分についてあらかじめ契約書に記載しておくと安心です。
契約書不適合責任は「任意規定」にあたるため、売主と買主の双方が同意していれば原則として自由に任意の取り決めを作ることができます。
その際の注意点としては、免責部分は項目ごとに細かく記載が必要ということです。
耐震基準や雨漏りなど、免責とした部分を一つ一つ洗いだして記載しましょう。
契約不適合責任において、買主が権利を行使できる期限は10年間です。
また、「不適合を知ってから1年以内に通知が必要」とされているものの、「権利を行使できると知ってから5年間」であれば買主は責任を問う権利を有しています。
しかし、任意規定によって任意の通知期間を設定することが可能です。
瑕疵担保責任で一般的とされていた「3か月」の通知期間が今後も主流になっていくと考えられるため、不動産売却の際には通知機関を3か月に設定しておくことをおすすめします。
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契約不適合責任では、これまでよりも不動産を売却する側の責任がより重く問われることになります。
瑕疵担保責任との違いや注意点についての知識を付けつつ、慎重に不動産売却を進めましょう。
北九州市(小倉南区、八幡西区、小倉北区、若松区、戸畑区、門司区)、遠賀郡(芦屋町、遠賀町、水巻町、岡垣町)、糟屋郡(須恵町、志免町、新宮町、篠栗町、宇美町、粕屋町)、下関市で不動産売却を検討されている方は、契約不適合責任の注意点についても「いいね不動産」までお気軽にご相談ください。